2019年5月依頼、2度目の宇宙空間到達
日本のロケット開発ベンチャー、インターステラテクノロジズ株式会社は2021年7月3日(土)17:45、観測ロケットMOMO7号機「ねじのロケット」の打ち上げに成功し、高度約100kmの宇宙空間に到達したことを発表しました。同社としては2019年5月の初成功に続く2度目の宇宙空間到達となります。
「ねじのロケット」2つの「初」
宇宙空間に到達したのは2度目ですが、「ねじのロケット」は以下の「初」も達成したロケットでもあります。
- 全面改良を行った観測ロケット「MOMO」の改良版(MOMOv1)の初打ち上げ
- 2021年4月に本格稼働した宇宙港「北海道スペースポート」として初のロケット打上げ
また、直近には2021年夏打ち上げ予定の「TENGAロケット」も控えており、準備は同時並行に行われました。これは今後の量産化・高頻度での打ち上げに向けた体制が整いつつあることを示すものです。
同社は2019年5月の初の宇宙空間到達以降、なかなか再度の宇宙空間到達が達成できず、途中コロナ禍の影響による延期などもあり、苦労していました。そうした中で、今回、改良機により2度目の宇宙空間到達を成し遂げたことは実績を確実なものにする意味でも大きいといえます。
宇宙の定義(どこからが宇宙か)
1点だけ気になったのは暫定値として発表された最高高度が「約100km(98.95km)」であったことです。もちろん、これが今回の打ち上げ成功の意義を変えるものではありませんが、それでも気になったのはヴァージン・ギャラクティックとブルー・オリジンがそれぞれ定義する宇宙空間の定義に端を発して、一部で「宇宙の定義」に注目が集まっていることによります。
宇宙は一般的に「高度100km以上」といわれますが、実は明確に共通の基準は定まっておらず、米空軍などは「高度80km以上」を宇宙としています。宇宙旅行ビジネスを手掛けるヴァージン・ギャラクティックの宇宙機スペースシップ・ツーは性能上90kmほどまでしか上がれないため、同社は計画当初の宇宙の定義を変更し、現在は「高度80km以上」を採用するなど、企業によって対応に差が出ています。
一方で、高度100km以上を宇宙としてきたFAI(国際航空連盟)が定義上の高度を引き下げることを検討する動きも過去にはありました。
観測ロケットのような用途ではあまり問題にはなりませんが、「宇宙」旅行を目指す旅行者には重要な問題です。ただ、将来的に「本当の」宇宙旅行が一般化して地球周回軌道や月への旅行が普通になればたいした違いではなくなってしまうと考えると、まあ、どっちでもいいのかもしれません。
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