アメリカ人の7割は宇宙旅行に「行きたくない」

過去に実施された宇宙旅行に関する調査では「宇宙旅行へのニーズは高い。課題は価格だ」という結論が毎回のように出されていました。その根拠として、およそ半数から7割ほどの人が「宇宙旅行に行きたい」と答えていることが挙げられます。最近では以下のような調査がありました。

『宇宙旅行市場調査』の結果について

宇宙旅行「行きたい」は57.3%、ネックは費用と安全 JAXAとクラブツーリズムが共同調査

ところが、民間宇宙開発関連のニュースなどを伝えるParabolic Arcで、これと真逆の傾向が伝えられました。

Poll: Can’t Give Away Trips to Space

A Monmouth University Poll revealed that 69 percent of respondents would not take the trip while 28 percent would do so. Three percent of those polled said their decision would depend upon the circumstances, and another 1 percent said they did not know.

記事によれば「タダで宇宙旅行に行ける権利が当たったら行きますか?」という設問に対し、回答者の69%が「宇宙旅行に行きたいと思わない」と答えたそうです。対して「行きたいと思う」は28%。なんと倍以上の開きが…。その他、「状況による」が3%、「わからない」が1%とのこと。調査は2014年12月に米国で無作為に選んだ18歳以上の男女1,008名に対して行われ、男女比は男性49%、女性51%とのことでした。

「状況による」という選択が可能だったとすると「宇宙旅行に行きたいと思わない」と答えた人は判断を保留した消極的な選択ではなく、ある程度意思をもって「行きたくない」と選択したと考えられるので、理由が気になります。2014年12月というと2014年10月末に起きたヴァージン・ギャラクティックの試験飛行中の死亡事故が影響を与えた可能性もありそうです。

そこで調査主体であるMonmouth Universityの発表資料をみてみました。

screenshot-www.monmouth.edu 2015-02-23 20-39-17
NATIONAL: Space Travel in the 21st Century

残念ながら理由までは書いていないようですが、さらに詳しい内訳が分かりました。
性別では女性よりも男性の方が「行きたい」傾向が高く、年齢では若い人の方が「行きたい」を選択する割合が多いようです。支持政党による違いはないみたいですね。

さて、この結果をどう捉えるかですが、宇宙旅行の事業展望の妥当性について、従来のような「みんな行きたいと言ってるから」という話の持っていき方は難しくなりそうです。しかし、他の設問の答えをみてみると、顕著ではないにしてもアポロ計画や今後の宇宙への投資について一定の評価もみえます。こうした理解の中で「宇宙旅行に行きたいと思わない」というのは、宇宙旅行が夢ではなく現実のものとして捉えられ、安全性への不安などが影響した結果なのかもしれません。

だとすれば、記事のコメントにもあったように現在の支持率で「市場としては十分だ」とし、きちんと宇宙旅行の事業性をアピールしていくという「普通」の考え方が求められているといえそうです。

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