(via Popular Mechanics)
「来年はとうとう(サブオービタル)宇宙旅行が!」
というセリフも過去数年繰り返され、今では「よいお年を」と同じような時候の挨拶になってきました。ヴァージン・ギャラクティックのリチャード・ブランソン氏も秋に予約者を集めたイベントで冗談まじりに「今度こそ来年だ」と話していたといいますが、実際、飛ぶまで分からないというのが本当だと思います。期待しつつ、のんびりと待ちましょう。
さて、そうした中でアメリカ国内で開発中の宇宙機を紹介する記事がありました。
■The 7 Ships of the New Space Age
ざっとご紹介を。
1)Lynx
Type: Self-launched space plane
Who: XCOR Aerospace
Launching: 2014
Destination: Suborbital
The Odds: Good
まずはエックスコア・エアロスペースのLynx(リンクス)です。
日本の俳優、岩城滉一さんが宇宙旅行を予約したとしてニュースになりましたが、岩城さんが搭乗する予定の機体がこれです。Lynxにはマーク1とマーク2があるのですが、岩城さんが搭乗するのはマーク1の方。現在のところ2014年にフライトの予定です。ただ、マーク1は高度60kmほどまでしか行きません。定義上、「宇宙」は高度100km以上とされているので、正確には「宇宙風旅行」かもしれません。
マーク2は高度100km以上に行きます。ユニリーバのキャンペーン「AXE Apollo」で使用するのはマーク2です。
2)New Shepard
Type: Manned capsule
Who: Blue Origin/Jeff Bezos
Launching: Unknown
Destination: Suborbital
The Odds: Good
2機目として紹介されているのは意外にも(?)ブルー・オリジンの「ニュー・シェパード」。
ブルー・オリジンやニュー・シェパードの名前は余り知られていないかもしれませんが、創業者のジェフ・ベゾス氏の名前Amazonの創業者として聞いたことがある人も多いと思います。
3)SpaceShipTwo
Type: Air-launched space plane
Who: Virgin Galactic/Richard Branson
Launching: 2014
Destination: Suborbital
The Odds: Very good
そして現在の本命ともいえるヴァージン・ギャラクティックの「スペースシップ・ツー」です。ロケットエンジンに添加してのテストに成功し「いよいよ」という雰囲気ですが、なかなかすんなりとはいかないのがこの分野。2014年に「来年には」というセリフを聞かずにすむかどうかはまだ未知数です。
4)Orion
Type: Interstellar manned stretch capsule
Who: NASA/U.S. Congress
Launching: 2021–2025
Destination: Asteroid, Mars
The Odds: Even
7機の中で唯一NASAが主導しているのが「オリオン」です。目的地は小惑星や火星ということで、1〜3機めの高度100kmに弾道飛行をするサブオービタル宇宙機とはまたことなりますが、宇宙開発が民間主導になってきたことを感じさせるラインナップです。
5)Dragon
Type: Manned capsule
Who: Space Exploration Technologies/Elon Musk
Launching: 2015
Destination: Orbit (International Space Station)
The Odds: Very Good
もちろん、民間企業もサブオービタルだけでなく、より遠くを目指しています。そして、その最初の実績を作ったのがスペースXの「ドラゴン」です。民間企業が開発したロケットおよび宇宙船として、世界で初めて地球の周回軌道からの大気圏再突入、そして国際宇宙ステーションへのドッキングにも成功しました。創業者のイーロン・マスク氏はオンライン決済サービスのペイパルの共同創業者、電気自動車メーカーのテスラ・モーターズの創業者としても知られています。同氏のキャリアについては以下の本が参考になります。
6)Dream Chaser
Type: Rocket-launched space plane
Who: Sierra Nevada Space Systems
Launching: 2017
Destination: Earth orbit
The Odds: Good
シエラ・ネバダの「ドリームチェイサー」の機体はスペースシャトルを彷彿とさせる有翼機(翼のある機体)の形をしています。目指すのは地球の周回軌道、そして国際宇宙ステーションへの人員・物資の輸送です。カプセル型の宇宙機と同様にロケットの先端につけて打ち上げる方式をとっています。
今年、ヘリコプターでつり上げて滑空試験を行い、およそ成功しましたが、着陸時に車輪が出ず、機体を損傷してしまいました。個人的にとても興味深い機体です。
7)Inspiration Mars
Type: Interplanetary transport
Who: Inspiration Mars Foundation/Dennis Tito
Launching: 2018
Destination: Mars
The Odds: Long
2001年に世界初の自費による宇宙旅行に行ったデニス・チトー氏が設立したインスピレーション・マーズ財団のプロジェクトです。今度は世界初の有人火星飛行を目指していますが、本人は行かないそうです。「The Odds: Long」となっている通り、今のところ実現の見込みは高くありませんが、楽しみなプロジェクトです。
というわけで、
2014年はとうとうサブオービタル宇宙旅行が始まることを願って。
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