火星移住計画「マーズ・ワン」の共同創業者がISDC2013のキーノートスピーカーに

国際宇宙開発会議(International Space Development Conference / ISDC)は毎年開催される宇宙開発分野の重要なカンファレンスのひとつです。自分も2006年に1度だけ参加しました。アポロ11号で人類初の月面着陸を果たしたバス・オルドリン氏、私費で宇宙に行った最初の宇宙旅行者、デニス・チトー氏、世界初の民間宇宙機スペースシップ・ワンの設計者である「モハーベの魔術師」バート・ルータン氏など名だたる方々も参加しており、直接お会いできたことは非常に貴重な体験となりました。

そんなISDCの今年のキーノートスピーカーに、火星移住計画を進める「マーズ・ワン(Mars One)」の共同創業者・CEOであるバス・ランズドルフ氏(Bas Lansdorp)が登場します。

The 32nd International Space Development Conference

Mars One

マーズ・ワンのサイトでは日本語でも概要と紹介ビデオを観ることができます。

「2023年 人類火星移住計画」
マーズワンは、2023年に人類を火星へ送り、火星で人類が繁栄して学びそして成長するための、永久的な前哨基地の基盤を設立することを計画しているNPO(非営利)組織です。最初のクルーが火星へ降り立つ前に、2年毎に新たな宇宙飛行士を受入可能にするよう設計された、居住及び持続可能な基地を設置する予定です。 この目標を完遂するため、マーズワンは既存するテクノロジーを駆使した精確且つ現実的なプランを構築しました。このプランは、実在する宇宙開発分野のサプライヤーや専門家との一体化した連携により、経済的また物流的にも実現可能な計画です。

是非、マーズワンと共にこの旅を体験してください。 私達のビジョンを皆さんの仲間と共有し、実現へ向けての取り組みをご支援いただいたり、あるいは貴方が火星へ旅立つ宇宙飛行士になるという可能性までも含め、さまざまな形でご参画いただくことができます。

そういえば、先日も移住希望者(?)がすでに4万人いるという話がありました。

火星移住希望者40000人か!?いよいよ飛行士選定が始まるマーズ・ワン

政府の力を借りることなく、つまり税金を使うことなく、プロジェクトへの賛同者からの協力だけで実現するということは、火星へは片道切符が前提であるこのプロジェクトの場合、非常に重要なポイントです。地球へ帰省することもできない、という点を人道的にどう捉えるかというのは、本人だけでなく周りの人にとっても夢やロマンだけでは片付けられない心情的な問題があることが容易に想像できます。

例えば、決意を持って火星に移住した人がなんらかのきっかけで心折れ、涙ながらに「地球に帰りたい」とカメラに訴える様子が放映されたとしたら、「自己責任派」と「人道派」で大きな論争が起こるでしょうし、(当然、前提とされていることですが)そのまま亡くなったとしたら、プロジェクトの意義についても疑問が声が挙がるだろうと思います。

この問題があるだけで税金を投入するのは相当に難しくなるでしょう。

もちろん、これらの問題はすでに想定しているでしょうし、だからこそ慎重に候補者を選定し、そうした可能性をふまえた念入りな広報活動を行っていく予定なのだろうとも思いますが、特に心情的な反応への事前対応は難しく、実際に起きるまでは意識されにくいのが実際です。

話はずれますが、2013年4月にWindowsXPのサポート期限が残り1年という件が報じられた時も、インタビューに対して「急に終了するのではなく、なんらかの対応をしてほしい」と不満を訴える方がいました。しかし、実際はもともと2009年4月14日に終了する予定であったものを2014年4月8日に延長したという経緯があり、今がその「何らかの対応」の期間なのです。この対応も以前すでにマイクロソフトによってアナウンスされていました。未来のリスクはなかなか実感されにくく、事前対応がしにくいという一例です。

長い目で見ればそうした議論を巻き起こすという意義がマーズ・ワンにはあるのかもしれません。
ISDCでそうした実現後の反応について何らかの話がでるのか、気になります。

…と、ここまで書いて、ひょっとするとこうした「トラブル」や世間の反応も想定済みなのかもしれないと思いました…。
もしかして…。

その妄想は別記事にします。

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