宇宙事業への招待状「ホリエモンの宇宙論」

2006年1月16日、ライブドアに東京地検特捜部による強制捜査が入った時、私はライブドアがあった六本木ヒルズに入っている某社に勤めていた。ビルの下には瞬く間に多くのマスコミと、それを見物する人々であふれかえった。

当然、ニュースで社内はもちきりだったが、私は別のことが気にかかっていた。その翌日に同じく六本木ヒルズにて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)主催の「JAXA産学官連携シンポジウム」が予定されており、冒頭のセッションで堀江貴文氏がモデレーターを務めることになっていたからだ。前年に福岡で開かれた会議でアルマズ宇宙船を使った宇宙旅行ビジネスを同氏が発表した際は、その直前に有給を使ってアメリカで行われた初の民間宇宙機イベント「X PRIZE CUP」に行ってきたばかりで、さすがに休めなかったため、堀江氏の話をやっと聞けるのを楽しみにしていた。

当日の様子は以下の記事に書いている。

JAXA産学官連携シンポジウムで宇宙ビジネスの未来の新たな提言を聞いてきました。

堀江氏の宇宙事業への想いは断たれてしまったように見えただろう。いや、宇宙事業への「想い」があることすら、一般にはまともに受け止められていなかったかもしれない。宇宙が民間企業のビジネス領域になるとは、日本では思われていなかったのだ。

そうした見方は今でも根強い。数年が過ぎ、堀江氏が宇宙事業を本気でやろうとしていることを疑う人はほぼいなくなった現在ですら、同氏が著書「ホリエモンの宇宙論」で宇宙事業が「国だけのものではない」と言うためにかなりのページを割かなければならなかったのも、そのためだろう。

本書は宇宙が民間企業のビジネス領域となりうるということ、それによって様々な可能性が見えてくるということを分かりやすく語り、参加を呼びかけている。分かりやすさという意味では宇宙開発の歴史的背景を解説する部分について少々「入り過ぎ」のような気もするが、「宇宙事業は国のもの」という強い固定観念を引きはがすためにはこうした背景を伝えることが重要なのも事実だ。

そうした現状を同氏の主張を挟みながら解説した上で、本書の本編とも言える部分は第4章から始まる。ここまでの話があることで、同氏の率いるロケット開発チーム「なつのロケット団」が開発する小さなロケットが単なる大人の趣味ではなく、ビジネスであるという実感を得ることができるはずだ。

私も2005年頃に某社に提案した「宇宙観光衛星」の実現に再び取り組んでみたいと思った。

 

 

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