宇宙ベンチャー、XCORエアロスペースのCEO「競合については心配していない」なぜ?

サブオービタル宇宙機「Lynx(リンクス)」を開発している宇宙ベンチャー、XCORエアロスペース(以下、XCOR)のCEO、アンドリュー・ネルソン氏がUSA Todayの記事中で自社の競合についての見解を述べていました。

それ以外にも興味深い話題の多い記事です。

Company seeks to capitalize on space tourism market

まずはXCORのサブオービタル宇宙機「Lynx(リンクス)」のおさらいを。
リンクスは地上から飛行機のように水平に離陸し、同社開発のロケットエンジンで高度100kmの宇宙空間に到達し、数分感の無重力体験と宇宙からの眺望を堪能した後、そのまま地上に戻ってきて飛行機のように水平に着陸するという2人乗りの機体です。

定員はパイロット1名と乗客1名。無重力体験は6〜7分とのこと。発着場所は様々ですが、記事中ではフロリダのケネディ宇宙センターからの発着計画が取り上げられています。気になる価格は1フライト9万5000ドル。

対して、現在もっともサブオービタル宇宙旅行の実現に近いといわれるのが、ヴァージン・グループの宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック。使用機体はスペースシップ・ツーです。スペースシップ・ツーは乗客定員6名とツアーが組めるほどですが、無重力体験は4分ほどでXCORより短め。その差は2分ほどですが、飛行機のパラボリックフライトによって体験できる連続無重力体験が20〜30秒ほどなので、けっこう大きな差です。発着場所はこちらも各地で計画されていますが、ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカが当初の母港となる予定です。お値段は20万ドル、とサブオービタル宇宙旅行の中ではお高め。

しかし、やはり一般的なブランドとしては圧倒的(?)にヴァージン・ギャラクティックということなのか、XCORの予約は現在250席ほどなのに対して、ヴァージン・ギャラクティックは500席以上にのぼっています。

となれば、XCORとしても競合との戦いは気になるはず…と思ったら、

Nelson is not worried about the competition. He compares it to a roller-coaster fan visiting various theme parks.

“If you ride roller coasters, do you just ride one roller coaster?” Nelson said. “No. You ride them all.”

「(XCORのCEOであるアンドリュー・)ネルソン氏は競合については心配していないという。彼は(サブオービタル宇宙旅行の顧客を)複数のテーマパークを訪れるジェットコースターファンと比較する。
『ジェットコースターに乗るとして、どれか一つしか乗らないということがあるかい?』『そんなことはないだろう。全部乗るはずだ。』」

アンドリュー・ネルソン氏は同社の宇宙旅行の顧客を「thrill-seekers(スリルを求める人)」と考えているので、確かにそういう考えもありそうです。

が、ジェットコースターとは値段が全く違うというのが気にはなりますが、値段が気になる人は当初のターゲットではないのかもしれませんね。

記事中でもうひとつ興味深かったのは宇宙旅行市場についての言及です。

A recent study by The Tauri Group on the still-nascent suborbital space industry projected $600 million worth of demand in the next 10 years, saying individuals eager for an out-of-this-world experience would be the primary buyers.

最近のタウリグループ(Tauri Group)での調査では引き続き黎明期にある「サブオービタル宇宙産業」は向こう10年で6億ドルの価値になる、とのことです。

…ちょっと少ないですよね…。サブオービタル宇宙産業がどの範囲まで含まれているのかが気になります。

探してみたところ、以下がその調査のようです。

The Tauri Group Announces Release of Report: “Suborbital Reusable Vehicles: A 10-Year Forecast of Market Demand”

調査レポートのPDFはこちら
これはこれで読み応えがありそうな感じです。

ざっと見ると、サブオービタル宇宙旅行について、今後の成長シナリオ3つのうちの基本的な予測が6億ドル、ということのようで、最も上手く言った場合は16億ドル、となっていました。範囲は、おそらく宇宙旅行のみのような感じです。
旅行者とその同行者が滞在することなどによる周辺の経済効果は算定されていないような…。
後ほど、もう一度見てみます。

そして、その地域への経済効果に期待している声が、記事中でもフロリダの担当者によって語られています。XCORのアンドリュー・ネルソン氏が競合に対してあまり気にしていないスタンスをとっているのに対して、ヴァージン・ギャラクティックのニューメキシコ州のスペースポート・アメリカだけでなく、発着計画があるアブダビも引っ張りだしつつ、宇宙に縁の深いフロリダを暗にアピールしています。

“Space tourism is more than thinking: ‘Well, I’m going to buy a ticket to go to the moon,'” Salonen told the Tourist Development Council.

「宇宙旅行産業は思っているよりも大きいのです。『んー、月旅行のチケットでも買おうかな』とかね。」

前半については同感です。
後半は…。

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