電気自動車メーカーのテスラ・モータースのCEO、イーロン・マスク氏がアップルのM&A担当役員と会合し、その場にアップルCEOのティム・クック氏も同席していたというニュースが話題になりました。
■Tesla CEO Elon Musk Reportedly Met With Apple’s Top Deals Exec
■アップル、医療機器・自動車分野への事業拡大に関心(SF Chronicle報道)
■[CNET Japan] アップルのM&A責任者、テスラCEOと会談か
これまでの経緯から各媒体はアップルがテスラ・モータースの買収、もしくは提携に興味を持っているのでは、と報じています。ただ、これまではそうした見方に否定的な向きもあったようです。
■AppleがTeslaを買収するならば、全てのゲームが変わる
この話は、昨年末においてはそれほど現実味の無い噂話に過ぎなかった。1通の公開書簡にはじまり、複数のアナリストがAppleの経営陣に送ったシグナルは興味深いものであったが、世界の電動自転車マーケットを牽引するTeslaがAppleによって買収されることをイーロン・マスクが望むとは思えなかった。正直なところ、今回の会談が、Teslaの未来を決定づけるほどのものとは思えないし、ジョブズ亡き後、投資家からの一定の圧力を受けているAppleがそれを望んでいたとしても、世界中にマーケットを拡大しようと目論んでいる希代の起業家にとっては検討に値する話には見えなそうだ。
しかし、イーロン・マスク氏の本当にやりたいことを考えれば、実はありそうだとも考えられます。
以下はイーロン・マスク氏の発言を紹介している記事です。
■『イーロン・マスクの野望』桁外れの野心家 未来を変える天才経営者
宇宙ロケットと電気自動車と太陽光発電。一見、バラバラの先端産業をイーロンは取り組んでいるように思えるが、彼の中ではこれら三つの事業は一本筋が通っている。「太陽光発電とともに電気自動車を普及させることは、この地球を石油依存から脱却させ、気候変動に対処し、人類が火星への移住を実現する時間を稼ぎだすことになる」、そう電気自動車事業と太陽光発電事業は、火星へ人類を移住させるという途方もなく大きな計画の前ステップだったのである。
そう、イーロン・マスク氏にとってテスラ・モータースの事業は本当にやりたいことの「時間稼ぎ」のための事業でした。ならば、それを発展させてくれるパートナーがいるのなら時間稼ぎをまかせてしまい、自分は本来の目的であるスペースXによる火星移住に集中するというシナリオが考えられるのです。
さて、これは今回の会談で考えられるひとつめの選択肢ですが、もうひとつ可能性があるのではと考えています。
というか、これに関する記事を読んでいて思ったことがあります。「イーロン・マスクがアップルのM&A担当役員に会った」という事実は分かりますが、なぜ「テスラのCEOとして」会ったことになっているのか、ということです。いくつかの記事を読む限り、テスラはコメントを拒否しています。もちろん、アップルも同様です。
そこでひとつの排除できない可能性が生まれてきます。つまり、テスラも話題にはのぼったかもしれませんが、イーロン・マスク氏の狙いはスペースXの事業、もしくは他の宇宙開発事業へのアップルの協力を提案するものだったのでは、ということです。
半分冗談ではありますが、テスラに興味を持つアップルに対し、それと引き換えにイーロン・マスク氏が自身にとって本題である宇宙開発にアップルを引き入れることを画策したとしたら…。
アマゾンとグーグルはすでに宇宙開発に直接・間接的に関わっています。Facebookはまだ若すぎ、マイクロソフトはクールじゃない(すみません)。残るはアップル。宇宙利用のインタフェースの役割を担うことで、民間宇宙開発のイメージにも大きな影響を与えるのではないでしょうか。
幸い、まだ正式な情報は出てきてません。
アップルの新製品予想のように、この話題も答え合わせまで様々な可能性が語られそうです。
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