2014年4月にMITの学生などが参加するプロジェクトが、火星に人類の「タイムカプセル」を送り込む計画を発表しました。計画では「タイムカプセル」は直径2インチのチタン性の球状で、その中にデジタルデータの形で数百万枚の写真、動画、音声、テキストなどが格納されるといいます。
タイムカプセルは10センチ四方ほどのキューブサットユニットを連ねた形(イメージ画像によれば3ユニット)の衛星に搭載されて火星に向かいます。もし実現すれば、他の惑星に行く初めてのキューブサット、そして初の非政府系惑星間ミッションとなる見込みです。
■Students Lead Bold Mission to Land a “Time Capsule of Humanity” on the Surface of Mars.
An international team of university students announced today they are evaluating the options and technologies to build and launch a small spacecraft to Mars. The vehicle would carry a unique payload: a two-inch-diameter titanium sphere containing perhaps millions of digital photos, videos, audio files, and text messages from people all over the world.
以下はプロジェクトの公式サイトです。
この「タイムカプセル」という表現はうまいと感じました。
名前やメッセージなどを宇宙に持っていくという「ロマン」に訴えかける試みは「はやぶさ」など、過去にもありましたし、エリジウムスペースのように遺灰を宇宙に持っていき、想いを馳せるという試みがあります。
ただ、これらはすべて、送り出したら二度とそれを手に出来ないのが前提です。つまり、想いを馳せる以上のことは想定されていません。
これとは別に、宇宙に記念品などをロケットで打ち上げ、地上に帰還した後に受け取れるサービスもありますが、地上で手にするため、やはり宇宙自体には想いを馳せることまでしかできません。
しかし、これを「タイムカプセル」と位置づけることで「いつか開けるかもしれない」という期待を持たせることができます。
おそらくこのプロジェクトも結果的に打ち上げっぱなしになるので、「ロマン」留まりに変わりないのですが、ストーリーの設定次第で「宇宙にモノを持っていく」という行為もまだまだバリエーションを作れるのではないかと思わせるプロジェクトです。
「はやぶさ」の例をあげるまでもなく、ストーリーはマーケティング活動でも重要な要素のひとつです。宇宙開発や宇宙ビジネスが一般化していくにつれ、認知を広げるためのこうした観点はさらに必要になってきそうです。
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