ロケット職人集団、Xコア・エアロスペース社

アメリカはカリフォルニア州のロサンゼルスから車で2、3時間(?)ほど北上したところにある町、モハーベ
。近年の民間宇宙開発にとって、ここはもっとも重要な場所のひとつといえる。
その理由は少なくとも2つある。
ひとつは、2004年に世界で初めて宇宙に到達した民間宇宙機「スペースシップワン」が飛び立っていったのが、この空港であったということ。

そしてもうひとつはX COR(エックス・コア)社の存在である。

2005年10月、初めて開催される民間宇宙機イベント「X PRIZE CUP」に向かう前、私はその地を見るためにモハーベ空港に来ていた。「最先端」のイメージとは程遠い町並みに、かえってそのフロンティアを見た気がしたのも事実である。X COR社には事前にメールはしていたが、調整がはっきりとつかず、時間も決めないまま飛び込み同然で訪問した。追い返されることも覚悟していたが、なんと快く対応してくれ、工場の中までも解説つきで見学させてくれたのだ。(スペースシップワンのメーカーであるスケールド・コンポジット社では丁重に断られてしまった。当然だが…。)
築60年の大きな工場の中に大小さまざまなロケットエンジンの試験機が並んでいる様子は、工場というよりも何かの実験室のようにも見えた。

そんなXコア社のエンジン開発が着々と進んでいる様子がいくつかのサイトで報じられている。

火星旅行用ロケットエンジン、黙々と開発中

黙々」という表現はXコア社にぴったりだ。決して派手ではないし、目を見張るほどのスピードがあるわけではないが、安定感・安心感は抜群だ。さらに、噴射実験写真にみるロケットの炎も本当に美しい。

ところで、Xコア社はロケットエンジンだけかといえば、実はそうではない。今年、2007年のX PRIZE CUPでプレ開催が予定されているロケットエンジンで飛ぶ飛行機のレース「Rocket Racing League(ロケット・レーシング・リーグ)」の機体提供メーカーでもあるのだ。
そして、高度100kmの宇宙へ到達するサブオービタル宇宙機「ズィーラス」の開発も行っている(「いた」?)。

Xコア社の存在は、ともすれば派手になりがちな宇宙旅行業界において、実は地道なものづくりこそが、本来的な基礎であるということを思い出させてくれる。

コメント

  1. uk2箱田 より:

    >Makinoさん
    ロケットエンジンのすごさとかって、なかなか一般的には伝わりにくいものだから、こうしたヴィジュアルでまず引き付けるという手法はありですよね。

    ロケットレーシングリーグ用の機体からこんな炎がでたら、かっこいいですよねぇ。

  2. KZ Makino より:

    メタン燃料エンジンの初期テストにもかかわらず過膨張ノズルでテストするあたり、ビジュアル的なウケを狙った確信犯としか思えませんねー。噴射炎のダイアモンド形のショックが美しい♪

    ん、それとも燃焼圧が設計通りに上がらなかっただけ。。。か?

    いずれにせよ、XCOR社には相当にロケットエンジンの設計ノウハウがたまってきていることは確かですよね。

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