Buzz Aldrin, Karol Bobko, Vance Brand and Walter Cunningham sit on a panel at MIT. Credit: MIT(via space.com)
オランダの団体、マーズ・ワンは2025年までに火星永住に向けて火星に「片道切符」で人類を送り込む計画を進めています。候補者の募集には日本人を含む各国から20万人もの応募者を集め、話題になったことをで名前を聞いたことがある人も多いかもしれません。
また最近はマサチューセッツ工科大学(MIT)のある研究チームが「マーズ・ワン計画は失敗する」との検証結果を発表したことも話題になりました。
■MIT博士課程研究チーム「マーズ・ワン計画は失敗するだろう」と予想
研究者たちは公開されているデータを基に「火星移住解析ツール」なるものを作り、この計画は問題が多数発生した後、失敗に終わるということを予想しました。
これに対して当のマーズ・ワンの代表者、バス・ランスドルプ(Bas Lansdorp)氏は、この検証は正確なデータに基づいていないとして、反論しています。
そうした中、あるカンファレンスで「火星への片道プロジェクトは可能だ」としたのが、アポロ11号で月に行き、ニール・アームストロング氏とともに月面を歩いたバズ・オルドリン氏です。同氏は最近、火星移住をテーマにした「ミッション・トゥ・マーズ 火星移住大作戦
」という著作も出版しています。
■Buzz Aldrin Says One-Way Trips to Mars Could Actually Work
あわせてオルドリン氏は以下のようにも語っています。
“It [will] cost the world — and the U.S. — billions and billions of dollars to put these people there, and you’re going to bring them back?” Aldrin said. “What are you going to do when you bring them back here that can possibly compare [to] the value that they would be if they stayed there and Mars wasn’t empty? And then, they helped to work with the next group and it builds up a cadre of people. When we’ve got 100 — or whatever it is — then we start bringing people back.”
「そこ(火星)に人類を送り込むのに世界とアメリカは何十億ドルも費やしたのに、帰ってこさせようとするのか?火星を無人にせず留まってもらい、次に来るグループの助けとなり火星の幹部を育成できる可能性とどちらかよいのか比較してみることが必要だ。100人か、適切な規模になってから、地球に帰還することを始めればいい」
その場ではなかなか同意が得られなかったようですが、火星行きの目的が「探査」ではなく「移住」なのであれば、この考え方はもっともと思います。ただ、当然のリスクがあり、必要なコストをなんらかの形で賄うには少なくとも十分な理解者を得るまでにかなりの議論が必要になります。
マーズ・ワン計画の実現性という特定の計画についてではなく、「火星移住計画の是非」に対してであれば、同様に火星移住の必要性を説き、移住までの時間稼ぎのために太陽光発電(ソーラーシティ)や電気自動車(テスラ・モータース)のビジネスを行っているイーロン・マスク氏も火星移住推進派としてこうした世論形成に影響を与えていきそうです。
他にも、移住目的ではないですが、世界で初めて自費で宇宙旅行に行ったデニス・チトー氏も自身のインスピレーション・マーズ財団による火星周回飛行計画を発表しています。
人類の、種としての考えと個としての考えの違いは、普段なかなか意識することはありませんが、実現までに必要な時間とそれまでの猶予を考えると、誰もが本気で考えなければいけない時期が迫っているのかもしれません。
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