宇宙服といえば、いわゆる宇宙遊泳で使うようなごっついのを思い浮かべる人が多いだろう。
が、もちろん宇宙ステーションや将来の宇宙船の中などではあんな宇宙服は必要ない。だとすれば、宇宙服はもっと自由でいいんじゃないか。そういった想いから生まれる様々な宇宙服のデザインを競うのが、「スペース・クチュール・デザインコンテスト」だ。
これまでにも各所で取り上げられていたスペースクチュールコンテストだが、このたび、先ごろのニューヨークタイムスにも掲載された。
On the Runway: Spacewear Meant to Dazzle, Even in Zero Gravity(閲覧のためには無料の会員登録が必要)
この記事に載っている写真のドレスは無重力の時、よりきれいに映えるようにデザインされている。無重力によって、これまで重力があることが前提だったデザインの原則が崩れ、新たなデザインを生み出すことができるのだ。
無重力という状態は科学実験においても貴重な場だが、重力があることを前提としている普段の感覚を崩壊し、再構成する意味では感覚に訴えかける、よりアート的な活用の場としても有用だ。
現在、一般的に使うことができる無重力、「ゼロG」の状態は「パラボリックフライト」と呼ばれる飛行機の急上昇と急降下で作られる数十秒の時間でしか存在できないが、地上100kmの宇宙空間に到達するサブオービタルフライトが一般化すれば、数分まで伸ばすことができる。表現の場として考えた場合、この差は大きい。人が浮遊するのは規制上難しくても、作品での活用は様々なものが考えられるだろう。
新しい価値は言葉では説明しつくせないことも多い。感覚に直接訴えかけるアートが担うべき役割が、そこにはあるに違いない。
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