宇宙基本計画(案)に対してパブリックコメントを提出しました

5月18日、内閣官房宇宙開発戦略本部が作成した「宇宙基本計画(案)」に対し、パブリックコメントを提出しました。

「宇宙基本計画(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について

多くの論点がある中、宇宙観光企画としてはその趣旨から、あえて「宇宙観光」についてのコメントのみに絞っています。宇宙観光をテーマとして活動する筆者の立ち位置を示すものでもありますので、ここに転載しました。

さて、今後の活動に、どうふまえてもらえるのか。

以下、提出したコメントです。

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内閣官房宇宙開発戦略本部事務局
意見募集担当 ご担当者様

宇宙観光企画代表の箱田雅彦と申します。
会社員として企業に勤める傍ら、宇宙観光アドバイザーとして国内外での宇宙観
光市場の立ち上げを目指した各種活動を行っています。また、現在特定非営利活
動法人 有人ロケット研究会(MRP)の副理事長も務めておりますが、MRPとしての
コメントは別途提出させていただくこととし、本コメントでは私の個人的見解と
して述べさせていただきます。

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■コメント

宇宙基本計画(案)を拝見いたしました。
繰り返し述べられている安全保障に関する課題をはじめ、さまざまな論点がある
かと思います。その中から、宇宙観光という利用目的が担えることとして以下の
3点についてコメントいたします。

○各種宇宙開発技術の宇宙観光への転用について

ここでいう「宇宙観光」は単に宇宙に行って帰ってくるという「宇宙旅行」だけ
でなく、地球上にいて体験できる周辺サービスなどを含む広い範囲を指していま
す。

そうした観点でいうと、有人宇宙機開発以外の技術も宇宙観光に転用可能である
ことがわかります。第2章の「2 我が国の宇宙開発利用に関する基本的な6つの方
向性」等では、安全保障や利便性に関する取り組みを宇宙開発技術の主な利用目
的として設定していますが、宇宙観光も含めることでより多くの人が利用できる
ものとなります。また、これは同時に民間企業参入の機会を増やし、宇宙開発技
術の収益機会を増やすものでもあると考えています。

案に記されている技術で転用可能なものとしては各種観測技術によって収集され
る衛星データ(画像データ)や人工衛星そのもの、月探査計画で触れられている二
足歩行ロボットなどのロボット技術、宇宙輸送技術、有人宇宙活動関連技術など
多岐に渡ります。

○宇宙活動に関する法制の整備について

第4章の「(5)宇宙活動に関する法制の整備」についての具体的な方向性は今後の
検討になるかと思いますが、可能性を大きく保ち、宇宙開発およびその周辺産業
における日本の競争力を維持向上させるためにも、取り組みを困難にする規制は
可能な限りないほうが望ましいと考えます。もちろん、その前提としては各プレ
イヤーが自身で安全性等の担保努力を行うことが求められます。

しかし、そうした中でもなんらかの規制を行わなければならない場合は、原則自
由で、明確に禁止されるものだけを具体的に提示するネガティブリスト方式がよ
いと考えます。これによって現時点では見えていないイノベーションにつながる
新しい動きを意図せずに封じてしまう危険性を最小限にできるからです。

○宇宙観光による長期的な国際貢献について

長期的に見て、宇宙観光は現在一般的に言われる「グローバル」な視野よりも広
い宇宙からの視野、「超グローバル」な視野を培うことにつながると考えていま
す。日本の宇宙開発技術によって、世界の多くの人が宇宙からの視点に触れる機
会を得ることができれば、それは大きな国際貢献につながるはずです。

それによって解決される問題のひとつに安全保障に関する問題があります。

本案を読み進める中で安全保障目的の利用を進めるためと思われる記述を多く感
じました。私は現時点でその目的を否定するものではありませんが、長期的には
多くの人が先の「超グローバル」な視点を持つことによって、こうした安全保障
に関する問題自体が無くなる世界を願っています。難しいことではありますが、
その可能性は日本の歴史を顧みればわかります。かつて日本には多くの「国」が
あり、その間で数々の戦が行われてきましたが、開国し、日本が世界の一部であ
ることを心から感じることで、日本はひとつになることができました。

今年は開国から150周年といいます。国の扉を開くことの意味を私たちは知って
います。だからこそ、宇宙観光によって地球の扉を開くことの意味を、私たち日
本人は自らの経験を通して諸外国に伝えていくことができるのではないかと考え
ています。

この記念すべき年に、宇宙基本計画によってそうした動きの第一歩を踏み出せる
ことを希望しています。

箱田 雅彦

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