宇宙のアート活用を!芸術衛星「INVADER」は「衛星芸術」の裾野を広げるか

新しいテクノロジーはまずアートの分野で使われ始め、その表現の可能性を模索される。コンピュータを使った音楽やコンピュータグラフィックも実用化に至るまでは、まず新しい表現方法としてアートの分野での活用が行われた。宇宙環境はすでに実用が始まっていることからこれらの例とは少々異なるが、あらたな分野の可能性を多くの人に知ってもらい、そこからさらに発想してもらう方法として、アートは適している。

先頃、宇宙を芸術分野で活用するための人工衛星「芸術衛星 INVADER」が平成25年(2013年)度に打上げ予定のH-ⅡAロケットに相乗り衛星(主の衛星打上げに相乗りして打ち上げてもらう衛星)として打上げられることが発表された。

ARTSAT:衛星芸術プロジェクト H-IIA相乗り決定!!

衛星は“宇宙と地上を結ぶメディア”──「衛星芸術」という世界初の挑戦!

「芸術衛星 INVADER」は衛星芸術プロジェクトARTSATの一環として開発されている。

ARTSAT:衛星芸術プロジェクトとは?

「ARTSAT:衛星芸術プロジェクト」は、地球を周回する衛星を「宇宙と地上を結ぶメディア」であると捉え、そこからサウンドアートや、インタラクティブなメディアアート作品など、広く芸術作品への応用やデザイン展開、さらにはゲームやエンターテインメント活用を提案・実践していくためのプロジェクトです。

(公式サイトより)

INVADERの目的のうちで特に注目したいのは「衛星データ活用のための使いやすいインターフェイスの設計開発」という部分だ。これは「衛星データを簡単に取得するための共通のインターフェイスを設計開発、実装する」ものだという。

同様の試みとしては国際宇宙ステーション(ISS)に載せたビデオカメラの映像データをオンラインで利用するインタフェース(API)の提供を予定しているUrtheCastなどがある。

UrtheCast

こうしたコアとなるコンテンツや機能を利用するインタフェース(API)を公開することで、多くの企業や団体、個人がこれらのデータを利用したサービスを作ることができるようになる。そうすれば、より多くの人に触れてもらうことができるだろう。こうした動きはネットサービス分野で起きたことと似ている。その後、表現としての芸術活用からきちんと市場を形成していくためにはいかに収益を得ていくかという問題が残っているが、活用が進むことで自ずと見つかってくるのではないか。ネットサービス分野では収益かのための様々なヒントが転がっている。

その意味でもINVADERの試みは非常に興味深く、注目していきたい。

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