YOMIURI ONLINEにある読者の疑問に答えるコーナー「COME ON ギモン」に
「ベンチャーがなぜロケットや宇宙船を打ち上げるの?」
という質問があった。
「なぜ」というのは、「ロケットを打ち上げるのは国がやることじゃないの?」という認識を前提としているのだと思うが、それ以外にも「ベンチャー企業ってお金儲けをするものでしょ?」という考えがあるように思う。言い換えれば「ロケットや宇宙船を打ち上げ」ても「お金は儲からない」と思われているというわけだ。
なので、冒頭の質問への答えとして、まずは「国際宇宙ステーションへの輸送事業や、宇宙観光事業への進出を目指しています。」とされてはいるが、これに加えて「なぜそれがビジネスになるか」という点も本文で述べられている。
■ベンチャーがなぜロケットや宇宙船を打ち上げるの?(YOMIURI ONLINE)
ここで2番目に説明されている「一般の人々向けの宇宙旅行事業への期待」は話題の範囲を米国に限定している点を除けば、その通りと思う。ただ、1番目の理由は少々疑問だ。
まず、NASAがスポンサーになってくれる可能性があることです。NASAは、国際宇宙ステーションへの輸送機を民間企業から調達する政策を進めています。NASAの審査を通れば開発費を提供してくれます。安くて良い輸送機が完成すれば、NASAが調達して使ってくれます。ビジネス機会になるというわけです。
顧客としてNASAしか想定していないという点だ。安価に、もしくは何らかのユニークな利点を加えられる形でロケットを打上げられるとすれば、顧客はNASAに留まらない。宇宙旅行で説明されている状況と同様、経済的合理性が担保できれば一般企業も宇宙環境をより活用する機会が増えてくる。ビジネス機会はNASAだけを相手にするよりもずっと大きくなるはずだ。
あとは、記事中の最後にあるように日本で宇宙開発への機運の盛り上がってくれれば…。
一方、日本は、これまで人が乗ることができる宇宙輸送機を作った経験がありません。日本の宇宙関係者は、開発費が巨大でリスクもあるので、政府が資金を投じて有人宇宙船とロケットの開発を進めるべきだと主張してきました。しかし、米国のベンチャー企業の活躍ぶりが伝えられるにつけ、財政当局や一般の人々から「ベンチャー企業ができることを、なぜ国がやる必要があるのか」と迫られそうです。米国の動き、日本の宇宙開発にもじわじわと影響してきそうです。
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