世界初の民間宇宙機「スペースシップ・ワン」を生み出したふたりが再び手を組んだ。しかも、強力な仲間を加えて。
マイクロソフトの共同創業者ポール・アレン氏と「モハベの魔術師」の異名をとるバート・ルータン氏は、世界で初めて高度100kmへ到達する宇宙機を開発し、賞金レース「X PRIZE」に勝利したことで知られる。スペースシップ・ワンの技術を引き継ぐ後継機はリチャード・ブランソン氏率いるヴァージングループの宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックによる宇宙旅行事業で採用され、実現に向けて進められている。
今回、ポール・アレン氏とバート・ルータン氏は再び手を組み、新たな宇宙事業会社「ストラトローンチシステムズ(Stratolaunch Systems)」を立ち上げることを発表した。そしてロケットエンジンは、なんと2010年12月に民間企業が開発した宇宙船として初の地球周回軌道への打上・帰還を成し遂げたスペースX社が提供する。スペースX社のCEOであるイーロン・マスク氏はネット決済大手のPayPal社創業者や電気自動車メーカーのテスラモーターズのCEOとしても知られる起業家だ。システムインテグレーションはダイネティクス社が行う。
スペースシップ・ワンもヴァージン・ギャラクティックで採用された後継機のスペースシップ・ツーもエンジンで苦労していた。すでに地球周回軌道への打ち上げ実績を持つスペースX社の参加の意味は非常に大きい。巨大な機体でロケットを上空まで持ち上げて点火するという打ち上げ方法もスペースシップ・ワンとスペースシップ・ツーで大型化の実績を積み上げており、規模は相当に違うとはいえ、実現は可能だろう。そうなれば、天候に左右されにくいなど自由度の高い打ち上げ方法というメリットが生きてくる。
ところで、今回のニュースは思いのほか、日本国内でも採り上げられた。「マイクロソフト共同創業者」という引きはあるにせよ、各記事も具体的なところまで伝えられており、現実味を持って受け取られていることがわかる。
しかし、やはり個人的にはバート・ルータン氏とイーロン・マスク氏が組んだことの方に相当ワクワクしている。一方で、この組み合わせに対抗しうる勢力が出てきてほしいという想いも強い。
その他、詳しくは以下の記事をどうぞ。
■Aerospace Designer Rutan Weighed Launch System for Years
■Paul Allen space venture begins with ‘largest aircraft ever constructed’
■巨大輸送機からロケット打ち上げ、ポール・アレン氏が新プロジェクト
■ポール・アレン氏が新会社設立、ジェット機+ロケットで宇宙へ
■マイクロソフト共同創業者のアレン氏、宇宙事業に復帰へ-新会社設立
■「シャトル後継」打ち上げ MS共同創業者が新会社
■米MS創業者が宇宙事業=16年の実用化目指す
■マイクロソフト共同創業者、シャトル後継機事業で新会社設立
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■Stratolaunch Systems
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■Stratolaunch Systems
【2012年1月22日追加】
プレスカンファレンスの様子。約1時間ある。
■Stratolaunch Systems Press Conference 13.12.11
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