スペースシャトルが2010年には役目を終える予定であることは比較的知っている人も多いのではないだろうか。しかし、その後、アメリカが国際宇宙ステーション(ISS)への往復になにを使うのかは知らない人のほうが多いかもしれない。
アメリカは新しい宇宙機としてCEV(Crew Exploration Vehicle)と呼ばれる宇宙機を計画しているが、これは月や火星に行くために計画されているものであり、そもそも実用化も2014年以降というからスペースシャトルの退役には間に合わないということになる。
そこで、NASAでは国際宇宙ステーション(ISS)への往復に民間の宇宙機を採用することにした。その計画がCOTS (「コッツ」Commercial Orbital Transportation Servicesの略)と呼ばれるものだ。この開発会社選択はコンペで行われ、これまで20社以上の会社・団体が競ってきた。
そして、とうとうその結果が発表された。
SpaceX, Rocketplane Kistler Win NASA COTS Competition(SPACE.com)
勝ち取ったのはスペースX社とロケットプレーン・キスラー社。
スペースX社は5月の国際宇宙開発会議に行った際に工場見学をした会社であるし、ロケットプレーン・キスラー社は昨年のX PRIZE CUPからずっとお世話になり、6月には民間商業宇宙飛行士(ミッション・コマンダー)の契約をさせていただいた会社でもあるので、私としては馴染みのある2社が選ばれてとてもうれしく思う。
これによって、スペースX社は計2億7800万ドル(約320億円)、ロケットプレーン・キスラー社は計2億700万ドル(約238億円)を開発資金として受け取る予定だ。ロケットプレーン・キスラー社のほうが少ないのは、ロ社のロケット「キスラーK-1」が既にかなり完成しているためだろう。
これでロケットプレーン・キスラー社はサブオービタル(数分間の無重力体験ができる高度100kmへの往復旅行)、オービタル(COTSはこれ。高度400kmの国際宇宙ステーションへの往復)の両方で実用化にもっとも近い企業になったといえる。
ところで、これら民間宇宙機は国際宇宙ステーションへの往復だけでなく、宇宙ホテルへの交通手段としても使われるかもしれない。今回の出来事で、国際宇宙ステーションよりも安く快適な宇宙滞在旅行に一歩近づくことができた。
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