「宇宙」に対する空気感とフック

(今日は少し小難しく・・・)

「時代の空気」というものがある。

「流行」というほど目立ったものではないが、その時代の雰囲気というか流れというか、そんなあいまいな「感じ」は確かにある。この10余年、時代の「空気」は「インターネット」だった。当時、アメリカのゴア副大統領(当時)による「情報スーパーハイウェイ構想」は大きな期待と衝撃を世間に与えたが、一方ではそれが果たして現実的であるかということについては疑問の声があったことも事実だ。実際、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏は当時はアンチ・インターネット派として知られ、独自のコンピュータネットワーク「MSN」を立ち上げようとしていた。OSだけでなく、ネットワークインフラまでも牛耳ろうとしたわけだ。
しかし、時代の空気はオープンなインターネットを勝者にした。それを察知したマイクロソフトは急遽路線を変更、MSNをインターネットの中に位置づけることによって、独占はできなかったまでも一定の地位を得ることになんとか成功することができた。

時代の空気とは、あいまいであるがゆえにつかみづらく、また、あいまいであるがゆえに知らぬ間に人の意識に影響を及ぼしていくのだ。

では、今の「宇宙に対する空気感」はどうだろうか。

感じたままを言うと、国によってかなりその空気感に違いがあるように感じる。ネットを見ていてもアメリカ発のものでは宇宙開発を主なコンテンツにしたサイトなどがいくつもあり、それらはビジネス的にもきちんと回っているように見える。宇宙開発・宇宙旅行に特化し、日本語で発信されているサイトは数の面でも質の面でもこれらには及んでいないというのが正直な印象だ。(もちろん、この宇宙観光企画も)

これは単純な話、宇宙に対する空気感の差に起因するのではないかと考えている。

もう少しわかりやすく言うと、「宇宙」に対する話題としての身近さだ。
いい悪いは別にして、アメリカでは宇宙開発は国の力の象徴でもある。これは民間企業も例外ではない。世界初の民間宇宙機スペースシップワンが成功した時に「GOVERNMENT ZERO(政府資金ゼロ」をアピールする一方、機体の上で星条旗を掲げる行為がそれを如実にあらわしている。
こうした空気感がアメリカの宇宙産業に対する意識の一部となっている。

ところが、日本はというと、こうした空気感がこれまでまったくといっていいほどなかった。

が、それも仕方がない。これまで、宇宙と日本との結びつきを意識する機会がほとんどなかったのだ。もちろん、2005年のはやぶさで多くの偉業を成し遂げたことは事実だが、「有人宇宙飛行」のような、わかりやすいものではなかったこともあり、「空気感」を構成する多くの人にはその偉業が十分には伝わらなかったのではないか。こうした活動は単発では関心を持ってもらいにくい。日ごろから宇宙関連の話題に引っかかるフックを人の意識に埋め込んでおく必要があるのだ。

その意味で、先日のH2Aロケットの打ち上げに伴う小泉首相のコメントはひとつの兆しなのではないかと感じている。

「H2A」打ち上げ 1カ月内連続成功 欧米追撃へ年8基(FujiSankei Business i.)

宇宙を舞台としたビジネスのインフラ部分は新興の民間企業が取り組むにはあまりにも大きい。少なくともスタートアップ時は、インフラに関する国のこうした動きが報道されることによって方向性としての宇宙開発を受け入れる土壌が形作られ、その上に関連産業としての民間宇宙ビジネス市場が形成されていくのではないか。賛否両論あることは承知の上だが防衛目的での宇宙利用の動きも関連市場を広げる要因となるに違いない。

しかし、これらを遠い場所での出来事と感じているうちはフックはできにくい。スペースシャトルに搭乗した野口宇宙飛行士は日本の人に対して「身近」に感じてもらうことを一番の目的にしていたときく。こうした宇宙に冠する活動が報道されることによって散乱する空気感が緩く方向付けられ、次第に意識のフックが形成されていくのではないか。

とはいえ、フックに引っ掛けるには「宇宙旅行」は当面まだまだ大きすぎるかもしれない。それでも、そのフックは周辺にある多くの可能性を見せてくれそうだ。

さて、最初にフックにかかるのはどんなビジネスだろうか。

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