アメリカ・カリフォルニア州のモハーベに本拠をおく宇宙ベンチャー2社がタッグを組んだ。
XCOR Aerospace(エックスコア・エアロスペース)とMasten Space Systems(マステン・スペース・システムズ)の2社は戦略的技術提携を行い、NASAがスポンサーとなる無人着陸機プロジェクトに参加する。
■XCOR and Masten Announce Strategic Relationship for NASA Landers Business(SCOR社の発表)
■XCOR and Masten Announce Strategic Relationship for NASA Landers Business(Masten社の発表)
XCOR社は決して派手ではないが、その技術力には宇宙ベンチャーの中でも定評がある。上の動画は推進剤にLOX(液体酸素)/メタンを使用したXCOR社のロケットエンジンの燃焼試験の様子だ。
一方、Masten社は2009年10月に行われた、垂直離着陸機(ロケットで垂直に上昇してバランスをとりながらそのまま下降する機体)のコンテスト「NASA ルナーランダー(月面着陸機)チャレンジ」(賞金100万ドル)の勝者(以下の動画はその時の模様)。
だが、この分野で頭角を現し始めたのは比較的新しく、それまで垂直離着陸機といえばアルマジロ・エアロスペース社がトップを走っていた。2007年頃までは垂直離着陸機を開発する数社がコンテストにエントリーはするものの本番時点で打ち上げられる状態にある機体はアルマジロ・エアロスペース社のものだけ、という状態が続いていたのだ。当時、筆者もコンテスト会場でMasten社の作りかけの機体を見たが、アルマジロ・エアロスペース社との違いは明らかすぎるように思えたものだった。それが2009年にはアルマジロ・エアロスペースを下しての優勝とは、感慨深いものがある。
■2009 Northrop Grumman Lunar Lander X PRIZE Challenge
さて、Masten社に垂直離着陸機分野のトップを譲り渡した形のアルマジロ・エアロスペースだが、逆に、ロケットエンジンを積んだ軽飛行機で空中レースを行う「ロケット・レーシング・リーグ」計画では、機体製造会社がXCOR社からアルマジロ・エアロスペース社に移ってもいたりする。
特に意味があるわけではないだろうが、アルマジロ・エアロスペース社から座を譲り受けた企業と、座を明け渡した企業が提携するということを考えると、今回のニュースは一段と興味深い。また、両社ともモハーベに本拠を置くご近所さんで、企業風土も似ているという。
いずれにしても、Masten社の垂直離着陸技術とXCOR社のロケットエンジン技術を組み合わせることで大きなメリットがあることには違いない。
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