「やっと!?」X PRIZE CUP(X プライズカップ)2006報告

X PRIZE CUP(エックス・プライズ・カップ)に今年も行ってきたという割には何も書いてないみたいだけど?と一部からいわれたとかいわれないとかな今日この頃、ちょっと時間がかかりましたが筆者執筆のX PRIZE CUP現地レポートがMYCOMジャーナルに掲載されました!

今年は垂直離着陸コンテスト、民間宇宙機の祭典「X PRIZE CUP」開催される

なんと5ページにも及ぶ大作です(笑)かなり削ったつもりだったんだけど・・・。

というわけで、紙面の都合上、書ききれなかった分のひとつを以下に掲載。
少しずつ拡充していきます。

■気球×宇宙船=ダ・ヴィンチプロジェクトは今!?

3人の人間を乗せて高度100kmの宇宙へ2週間のうちに2回往復した最初のチームには1000万ドルの賞金が与えられるという「X PRIZE」。結果として2004年10月にスペースシップワンが勝利したこの賞金レースには様々な方式の機体がエントリーしていた。水平離着陸型、垂直型、1段方式、2段方式・・・。

そして、それらの中で群を抜いてユニークさを放っていたのがカナダの「ダ・ヴィンチプロジェクト」が推進していたバルーン方式だった。

スペースシップワンでは、宇宙に行く子機(スペースシップワン)は、母機(ホワイトナイト)によって上空まで運ばれる。対して、ダ・ヴィンチプロジェクトでは、宇宙機を上空まで持って行くのに気球を使うのだ。発射地点である上空に到達するまでのゆったりとした優雅な時間と、上空に行った後のロケットエンジンによる強烈な加速度のコントラストは旅と冒険の気分を盛り上げてくれるに違いない。

去年のX PRIZE CUPでは気球にぶら下げる宇宙機のモックアップを展示していた。
しかし、今年はブースに行くとなぜか(バルーンに比べれば)普通の宇宙機の模型があるだけ。そういえば、バルーン方式はやめたという話は実は去年くらいから聞いていたが、その理由はきちんと聞いていなかった。

あんなに魅力的な方式をなぜやめてしまったのか、ダ・ヴィンチプロジェクトを推進するDream Space Group代表のBrian Feeney氏に話を聞いた。

「それは目的が変わったからだよ」

氏によれば以前バルーン方式を推進していたのは、それが「予算が抑えられるから」とのこと。確かにスペースシップワンの母機(ホワイトナイト)よりはかなり安上がりに思える。ところが、バルーン方式はひとつ大きな欠点がある。
それは「風まかせ」ということだ。

「X PRIZEが終わって開発目的が商業運行に変わった。風によって左右されるバルーン方式では安定した商業運行はできない、というのが方式を変えた理由だ」

確かに2週間以内にとにかく2回打ち上げればよかったX PRIZEと、きちんと目的の場所に戻ってこなければならない商業運行では、こうした違いは当然かもしれない。

新しく開発中の機体はなんと9人乗り。2人分がパイロットとクルーで残り7名分が乗客用だ。スペースシップ2が乗客6名。今具体的に計画されている宇宙機では一番多いクラスのキャパシティを持つ。うまく運行できれば宇宙旅行の値下げにも貢献するだろう。

民間宇宙機開発も日々動いているということを実感する一方で、なにか古きよき時代の遺物を懐かしんでいる気持ちにもなった。黎明期を抜け出す過程では仕方のないことだが、こうしたユニークな方式が志半ばにして消えていくのはなんともさびしい気もする。

とはいえ、新生ダ・ヴィンチプロジェクトには宇宙への大量輸送を目指して、今後もぜひがんばってほしいところだ。

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