2006年12月アーカイブ

2006年も終わりです。というわけで、宇宙観光企画が選ぶ2006年の宇宙旅行ニュースを。
2005年のニュースまとめはこちらから。

さて、2006年を迎えようとしていた2005年末、正直不安でした。
2004年にスペースシップワンが民間宇宙機で初めて宇宙空間に到達した翌年の2005年はその勢いのまま、秋に行われた世界初の民間宇宙機イベントX PRIZE CUPにいたるまで様々な動きがありました。日本市場でもヴァージン・ギャラクティック社のフライトをクラブツーリズムが取り扱い開始したり、JTBがスペース・アドベンチャーズ社の総代理店になるなど、目に見えて大きな動きがありました。個人的にもこれまで踏み出せなかった宇宙旅行の予約に踏み切ったり、1年以上待ち望んだX PRIZE CUPを訪問し、多くの出会いに恵まれるなど、充実した年でした。

だからこそ、その勢いが2006年も続くかというと心の中ではかなりハラハラしていたものです。
が、それは全くの杞憂になりました。2006年は2005年にも増してすばらしい年だったと確信しています。

では、宇宙観光企画が選ぶ2006年の7大ニュース、ご覧ください。

宇宙旅行に関する調査を見ても、なかなか実際の顧客イメージは見えてこない。例えば、どの年代の人が多いか?職業は?収入は?そしてもうひとつ、おそらく宇宙旅行関連ビジネスのマーケティングにとって重要な要素である男女比はどうなのだろうか?
というと、実ははっきりしたデータを見たことがない。(あるかもしれないけど…)
「乗るほう」はそんな状況だが、逆に「作るほう」である理工系は圧倒的に女性が少ないのが現状だ。

こうした状況の中、女性にも理工系の楽しさを知ってもらうべく、ロケットの製作・打ち上げを体験する「ロケットガール養成講座」が秋田大学ものづくり創造工学センターの主催で12月23日から開講された。

育て「ロケットガール」 女子中高生の講座スタート、秋田大

ロケットガール養成講座のサイトも開設されている。ちなみに、「ロケットガール」は2007年2月にWOWWOWにてアニメ化予定だ。

そういえば、先日も宇宙開発マンガのアニメ化が発表されていた。しかも同じくWOWWOW。
・・・いや、ただの偶然だろうけど・・・。

宇宙開発マンガ『MOONLIGHT MILE』がアニメ化、2007年3月WOWOWにて放送開始

「Googleと宇宙の関係」と聞いて思い浮かべるのはなんだろうか。
黒い宇宙空間にぽっかりと地球が浮かぶ、「Google Earth」のスタート画面?またはGoogle Mapsの月面版「Google Moon」や火星版「Google Mars」?

いや、実はもっと宇宙に近い場所にGoogleはいる。

グーグル、NASAと提携--月面版Google Earthなどを開発へ

GoogleとNASAの提携に関しては以前も記事となっていたが、それがこの度正式なものとなった。記事中にあるように、まずはGoogle Earthのあの浮遊感が月面や火星でも味わえるようになる見込だ。その他にもNASAの膨大な宇宙関連資料に一般の人が快適にアクセスできるように情報を整理することも予定されているが、これはGoogleが自らのミッションとしている「世界中のすべての人があらゆる情報にアクセスできるよう手助けすること」の流れにも沿っているものだ。

ところでGoogleと宇宙の関係はこれだけではない。
ここまでに出たものも含め、例を挙げていく。

■Google Earth, Moon, Mars ...
昨年から今年にかけ、もっともホットだったGoogleサービスのひとつといえば、やはりGoogle Earthだろう。筆者は正式発表前にとあるセミナー会場で見る機会があったがその時の衝撃は忘れられない。宇宙の視点から近所の建物までスムーズにズームして行く様は、それまで頭の中の理想でしかなかったのだから、その時は本当に久しぶりに驚いた。

さらに、画面インタフェースはGoogle Mapsのものになるが、「Google Moon」と「Google Mars」を相次いで発表。宇宙探索の想いをかきたてた。

グーグルが3D表示可能な地図ソフト「Google Earth」を提供開始
アポロに乗らずして月面サーフィン--グーグルの新サービス「Google Moon」
グーグル、月に続いて火星の地図も

■NASAと提携
今回の正式提携の前に発表された段階でも大きな注目を集めていた。ただ、そのころは具体的なサービスイメージがわかなかったのも事実で、その点で具体性が出てきた今回のニュースはより現実的な印象をもって迎えられたように思う。

ギーク夢の競演--NASAとグーグルが共同で研究開発へ
グーグル、新キャンパス建設へ--IT業界のジンクスは破られるか

■インターネットの父、ヴィント・サーフは宇宙を目指すか。
一般にはなじみが薄いかもしれないが、Vint Cerf(ヴィント・サーフ)はインターネットの通信で使う基本プロトコル「TCP/IP」を他の研究者と共に設計したことで「インターネットの父」と呼ばれる。ネットの世界ではまさに「超」のつく大物だ。ヴィント・サーフは現在Googleに所属し、新たな開発にも取り組んでいるが、そのひとつが惑星間通信といった宇宙空間をベースとしたものだ。誰が言ったかは忘れたが、IPネットワークの「IP」は、今は「インターネット・プロトコル」の略だが、人類が宇宙に広がって通信するようなころには「インター・プラネット(惑星間)」の略になっているだろう、という冗談もある。

以下の記事によると、ヴィント・サーフは「世の中に既にインターネットが存在し、自分も若かったなら、今頃は宇宙に目を向けていただろう」と語ったという。

Cerf's up at Google
グーグル、またも大物獲得--今度は「ネットの父」V・サーフ
インターネットの父V・サーフ、今の関心は宇宙に

■Google、月の研究所で人材募集中
Googleでは月に設置予定の研究所で人材を募集している。以下のページでは「なぜ月なのか」などの説明が数ページ渡って書かれており、どこまで本気なのかと思わされる。
が、案外本当に本気なのではないかと、期待を込めて考えてしまうのは仕方のないことだろう。

Google Copernicus Center is hiring

■Google創業者ラリー・ペイジ氏とX PRIZE
Google自体は宇宙機の開発をしているわけではないのでこれまで忘れていたが、Googleの創業者ラリー・ペイジ氏はX PRIZEの理事でもある。

X PRIZE FOUNDATION:Board of Trustees

■X PRIZE CUPに出展!
Googleは2006年10月に開催された民間宇宙機イベント「X PRIZE CUP 2006」で「Google Earth」「Google Moon」「Google Mars」を展示していた。

20061107-Google_in_XPC.jpg
「Googleの荷造り用木箱」

また、X PRIZE CUPのサイトではGoogle Earthと組み合わせ、スペースシャトルや、アポロを打ち上げたサターンロケットの3Dモデリングを見ることができる。中には計画中の宇宙エレベーターもある。

X PRIZE CUP - 3D Space Models

■おまけ
Googleの検索窓で計算ができることを知っている人は多いだろうが、人生、宇宙、すべての答えさえも瞬時に出してくれるのだ。うそだと思うなら、Googleの検索窓に「人生、宇宙、すべての答え」と入力してみるといい。その答えに納得するかはあなた次第だが。

グーグルが電卓機能を強化--人生、宇宙、すべての答えは?


ところで、IT系企業と宇宙というとこれまでにもいろいろな例がある。

Paypal社の創業者であるイーロン・マスク氏はスペースX社でロケットを開発している。アクションゲームのDOOMやQUAKEを開発したジョン・カーマック氏はアルマジロ・エアロスペース社で垂直離着陸型の宇宙機を開発している。アマゾン・ドットコム社CEOのジェフ・ベゾス氏はブルー・オリジン社で同じく垂直離着陸型宇宙機を開発している。マイクロソフトの共同設立者であるポール・アレン氏の資金で開発されたスペースシップ・ワンは、既に2004年に宇宙に到達している。

しかし、これらはすべてIT系の会社としてではなく、個人の資産で行ったものだ。
対して、GoogleはGoogleとして宇宙に関わろうとしている。この点が大きく違うところだ。そしてGoogleのミッションをきちんとふまえた関わり方になっているところにぬかりのなさを感じる。

以前、少々皮肉めいたニュアンスで描かれている、地球を支配したグーグルボット(検索のためのページを集めるロボット)の絵を見たことがあるが、いまやGoogleは宇宙にも、その範囲を広げようとしている。

果たして、Googleは宇宙でなにを見つけるのだろうか。

日本の民間宇宙ベンチャーが少しずつ増えてきている。
今度は北海道の民間宇宙開発をリードしてきたあの企業が宇宙ベンチャーを設立した。

宇宙開発でベンチャー 道産ロケットや人工衛星利用 赤平の植松電機に設立

北海道で開発されたCAMUIロケットや衛星などをビジネスに転用・活用する「カムイスペースワークス」が設立された。2006年10月に行われたX PRIZE CUP2006に一緒に出展した北海道大学の永田教授やNPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)も参加・協力を行う。

記事中にあるように、これまでボランティアベースで行われていたものが、きちんと会社としてのビジネスに発展させていくということが今後の課題になると思われる。

宇宙旅行に関するアンケートは去年くらいに2つほど紹介した。最近あんまり見てないなぁと思っていたら、こんなアンケート結果のニュースが・・・。

金があっても宇宙は行かない!? アジア諸国で宇宙旅行熱も、冷めてる日本人

なんと!
アジア諸国での宇宙旅行熱にもかかわらず、日本人の多くは宇宙旅行に対して比較的消極的だとのこと。オーストラリア、香港、日本、韓国、シンガポール、台湾、タイ、インド、インドネシア、フィリピンの10カ国、合計5,000名への調査で全体の約66%が宇宙旅行に関心を示す一方、日本人の過半数である52%が「無関心」という結果が報告されている。これは調査国の中でもっとも多い。最低の関心度だ。

これはなぜだろう。

簡単に「国が宇宙の魅力と宇宙開発の意義をアピールしないからだ」とはいえるかもしれない。でもそれは他力本願に過ぎるだろう。重要なのはここから何をするかだ。

とはいえ、宇宙旅行の魅力がきちんと語られていないのは事実だと思う。そして、なぜ語られていないかといえば、宇宙旅行に関わる人は(私も含めて)頭のどこかに「宇宙旅行はみんなが当然に持っている夢」という「誤解」が存在するからなのではないか。つまり、わざわざ語らずとも「本当は誰でも宇宙に行きたいと思っているはず」であるから、「宇宙旅行の魅力は説明不要」であるという無意識の前提を持ってしまっているのではないか。

筑波大学の鈴木一人助教授は「宇宙は人類の夢、ではない」といった。すべての人類が共通して持っているわけではないということを認識し、それが理屈ぬきに実現に向かえるわけではないということを知らねばならない。「将来の夢」を現実にするためには「現在の現実」からの様々な社会的プロセスが必要なのだ、と。

宇宙旅行に関わる者はともすればこの現実を忘れがちである。無理もない。「2001年宇宙の旅」を持ち出すまでもなく、宇宙はこれまでずっと未来に対する「憧れ」の象徴であった。それが現実になろうとしているのだから「行きたくないわけがない」と漠然と考えてしまうのである。もちろん、行きたい人ばかりではないことはわかってはいるが、本質的には皆行きたいものだと感じてしまう傾向があるように思う。宇宙旅行についての説明の多くが、「宇宙旅行が身近になった。現実になった。」ということのアピールに重点が置かれている現状には、そうした意識の背景があるのかもしれない。しかし、これは一般の商品でいえば「買えるようになりましたよ」と言っているだけに等しい。だから、宇宙旅行に興味がある人にはアピールできるが、興味がない人にはとたんに手段を失ってしまうのである。

これでは多くの人が宇宙旅行に行く未来はそれこそ夢のまた夢だ。

一方、「幸せを目の前にすると人は臆病になる」ともいわれる。状況が自分にとって前向きの方向に向かおうとすると、それに対して抵抗する反応が体に起こることがあるのだそうだ。そう考えると、憧れが現実になろうとしている現在、このアンケートの結論は当然の結果なのかもしれないと思えてくる。…のは、これもまた宇宙旅行に関わる者の自己満足だろうか。(ちなみにこの反応は、本屋に行くとトイレに行きたくなる、という「青木まりこ現象」を説明するひとつの仮説でも用いられている)

いずれにしても日本国内で宇宙旅行がまだ現実のものとして受け入れられていないのは事実だ。「宇宙旅行の魅力は説明不要」という無意識の前提を捨て去り、もう一度アピールすべきサービスとして位置づけ、夢の実現へのプロセスを積み重ねて行くことが日本の宇宙旅行産業にとって重要であるのは間違いない。

参考:
宇宙旅行に関する調査を考える。「宇宙旅行に関するアンケート」
宇宙旅行、いくらならOK?何をしたい?何を食べたい?「2010年宇宙の旅アンケート 」結果

アンケートはシンガポールでCNNが制作したCNN Future Summitの一環として行われた。以下はCNN Future Summitの宇宙旅行関連ページ
CNN Future Summit「Space tourism: Trip of a lifetime」

このアンケートの調査会社である英Taylor Nelson Sofres(TNS)社からのプレスリリース(PDF)
BEYOND THE FINAL FRONTIER? POLL FINDS ONE THIRD OF ASIANS
WOULD BE SPACE TOURISTS

「宇宙服」と聞いて、まず普通は宇宙遊泳や月面着陸で使うような、あのごっつい機能的な宇宙服を思い浮かべるだろう。そして、このサイトを見ている人や、ちょっと宇宙関連の話題を知っている人なら、11月はじめに発表が行われた「スペース・クチュール・デザインコンテスト」の受賞作品のようなファッション性に重点をおいた宇宙服を思い浮かべるかもしれない。

しかし、今回紹介する宇宙服はそのどちらでもない。いわば、その中間に位置する宇宙服だ。

ファッション界最後の砦? 宇宙旅行

この宇宙服は安全かつSF的ファッショナブルさをあわせ持っている。高度約152.4キロ(50万フィート)で生命を30分間維持する機能があるというからなかなかだ。「宇宙」は高度100km以上とされているから、150kmで生存可能なこの服はあらゆる定義から見ても文句なしの「宇宙服」といえるだろう。完成は2007年を目指し、リース代は一着3,000~6,000ドル(約35万~70万円)と推定されている。

「ん?リース?」と思った方もいるかもしれない。そう、今のところはリースを中心に考えているらしい。それはそうだろう。1年に何回か使うならまだしも、「当面」は一生に1回使うかどうかの「衣装」だ。その意味ではこの宇宙服を「お買い上げ」することは、成人式の振袖やウェディングドレスを買うことよりも機会のレアさからいってそれこそレアになるのだろう。

と思ってはたと気づく。

機会がレアなんだったら、逆に「宇宙に行った記念に」といって買う人もたくさん出てくるんじゃないだろうか。振袖やドレスは個人にとってはレアなイベントで使ったものでも身の回りでレアじゃないからモノとしての価値は高くない。でも、個人だけでなく身の回りの機会としてレアであればモノとしても十分(話のタネという面も含めて)価値があるという見方ができる。機会が少ないからリースという考え方もあるが、「メニューは一番下よりひとつ上を選ぶ」という心理からも、むしろリースは松竹梅の「梅」の位置づけとし、「竹」や「梅」である宇宙服を売る、という線もアリなのかもしれない。

ところで、この宇宙服を提供するOrbital Outfitters社の代表、リック・タムリンソン氏にはこれまでも昨年のX PRIZE CUPでお会いして以降、5月の国際宇宙開発会議、10月のX PRIZE CUPの度にお会いしては興味深い話を聞かせていただいていた。この宇宙服の話もその中で聞いていたお話の中のひとつだ。

少し前までは構想で終わっていたかもしれない事業が次々と形になっていく。そんな業界の黎明期に再び出会えたことは自分にとっても特別にレアな経験になるだろう。
その記念に自分は何を残せるのか、動きながら考えていきたい。なんちて。

以前ご案内していた「起業を目指す学生向けビジネス講演会『民間宇宙ビジネスの起動!』」が開催されました。
私はなかなか準備を手伝えなかったのですが、当日は受付をお手伝い。

ちょっと遅れて開始され、講師の山崎大地さんから宇宙ビジネスの現状とあわせ、アストラックスやアストラックスミッションサービスの今後の展開についての説明、そして宇宙ビジネスで起業する際のちょっとした心構えなどが紹介がされました。

初回ということもあり、少々スムーズに流れなかった部分もありましたが、アンケートをみると厳しいご意見もありましたが、全体的に満足していただけたようです。
いくつか取材も入っていたので、公開されたらまたお知らせします。

月周回旅行のお値段、現在ざっと1億ドル(約120億円弱)。
これにはさすがに手が出ないあなたも私も、「こっち」なら気軽に月周回を堪能できそう。しかも、1億ドルの月周回旅行は1回月の向こうを回ってすぐ帰ってきてしまうのに対し、「こっち」は思う存分周回できる。

ただし、行くのは「願い」だけだけど。

あなたの名前とメッセージを月へ届けます~セレーネ「月に願いを!」キャンペーン~

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2007年打上予定の周回衛星「SELENE(セレーネ)」にメッセージを載せて月に送る計画を発表した。12月1日の本日から2007年1月31日まで受け付ける。応募はインターネットや往復はがきで行うことができる。

ちなみに携帯でも可能。が、残念ながら絵文字はだめらしい。でもAA(アスキーアート)ならいいのかな。アメリカが有人月探査に使うCEVより先に月に乗り込むのだから、

(屮゜Д゜)屮 <CEVカモーン!

なんてどうだろう。

ところで、こういうのも「キャンペーン」と呼ぶのだろうか。
そもそもキャンペーンとは・・・(略)

それはそうと、早速携帯で申し込んでみます。申し込んだ方、よかったら内容教えてくださいね!

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