2006年6月アーカイブ

地球ドラマチック「スペース・ツーリスト ~宇宙ビジネス最前線~」を観た。

X PRIZEの関係者が多く出演しており、私がミッション・コマンダー契約を締結したロケットプレーン・キスラー社のチャック・ラウアー氏も出演していた。また、イギリスで制作された番組であるおかげか、同じくイギリスのヴァージン・ギャラクティック社が中心にすえられており、アメリカ中心の番組とはまたちょっと違った雰囲気で見ることができた。(それでもやはりアメリカ関連がほとんどだったが)


全体を通して、私は、アポロ9号に搭乗したラッセル・シュワイカート氏の言葉が印象に残っている。

「宇宙から戻ってきたとき、私はまったく別の人間に生まれ変わっていました。自分という人間と故郷の星『地球』との結びつきを理解したためです。自分の祖国に対してそのような経験をすることは珍しくありませんが、地球全体を直感的に感じとることは宇宙飛行士だけの特権です。」

これは、私が宇宙に対して抱いているイメージそのままだ。

私はこれを日本の歴史に照らし合わせて考えていた。
日本は、かつて日本の中に多くの「国」が存在し、領地を巡って戦(いくさ)を繰り返していた。ところが、国を開き、諸外国を知ることで、日本に住む人は日本を「ひとつの国」と感じるようになった。

今、世界には多くの国がある。戦争も絶えない。そんな中でも「世界はひとつ」という人もいる。しかし、「本当に」そう感じている人はどれほどいるだろう。少なくとも私は日本に感じるそれと、地球に感じるそれとはまったく感覚が異なる。知識の域を出ていない。

ラッセル・シュワイカート氏の言うことが本当ならば、宇宙から地球を見たとき、私は真の意味で「ひとつの地球」を感じることができるのだろう。そして、多くの人が宇宙に行き、同じように感じることで、人類総体としての考え方も徐々に変わっていくに違いない。

日本国内で都道府県が(政治的な争いはあっても)殺し合いの戦をしていないように、「ひとつの地球」の中では、国同士でさえも今とは違う関係作りができるのではないかと期待している。

宇宙ビジネスを取り上げたTV番組といえば2005年12月に放送された日経スペシャル ガイアの夜明け「2005年 宇宙への旅~未来の100兆円市場に賭けろ~」がある。筆者も訪れた民間宇宙機の祭典「X PRIZE CUP」などで取材を重ねた同番組は、広く宇宙旅行ビジネスを紹介する番組として、大変に貴重なものだった。

が、宇宙旅行ビジネスの動きは早い。放映からわずか半年の今でさえ、すでに懐かしい気がしてしまう。(個人的な事情も大きいが…)

そんな中、今度は2006年に制作された番組が放映される。

地球ドラマチック「スペース・ツーリスト ~宇宙ビジネス最前線~」

紹介文を見ると、初めて宇宙に到達したスペースシップワンとヴァージン・ギャラクティックが中心のようだ。「数年以内にブランソンたちのライバルとなる宇宙船が数機は現れるといわれています。」とあるが、宇宙旅行業界全体をどこまで紹介できるか。

■番組情報
『スペース・ツーリスト ~宇宙ビジネス最前線~』
2006年6月21日(水)19:00~19:45
NHK教育にて放映
人類が初めて宇宙に飛び出してから40年以上。しかし、これまで一般の人々が参加できる月旅行や宇宙探検は夢物語に過ぎませんでした。その夢が現実になろうとしています。巨額の資金を必要とした政府主導の宇宙開発から、民間企業による新しい宇宙ビジネスが幕を開けようとしています。
・原題:Space Tourists
・制作:BBC(イギリス・2006年)
・ナレーター:渡辺徹

宇宙に行くロケットや人工衛星、そしてミッション・コマンダーが搭乗するロケットプレーンXPのようなサブオービタル機(高度100kmの宇宙空間との間を往復する宇宙機)の活用法として、まずもっともシンプルに考えられるのは「なにかモノを宇宙にもっていく」というものだろう。

既にある具体例としては

宇宙を旅した酵母から作られた宇宙酒
・小惑星探査機「はやぶさ」の入りターゲットマーカー(着陸の目印)に刻印された88万人の署名
遺骨などを宇宙にもっていく宇宙葬

などがある。これらに共通していえるのは、宇宙になにかをもっていくという行為自体がサービスの主となっている点である。宇宙酒は「宇宙を旅した酵母からできた」という点が重要なのであって、味などへの影響はさほど問題ではない。同様にはやぶさのターゲットマーカーはもちろん署名がなくてもターゲットマーカーとして機能するし、そもそもセレモニーである葬儀については、宗教的な意味合いを考慮しても今のところ「宇宙葬」である必然性はない。

では、こうした活用は意味がないかといえば、そうともいえない。

例えば、形のないモノに価値に見出すという点で多くの人に共通の体験といえば「思い出の品」だろう。思い入れのある品は、他の、それがたとえ全く同じ品物であっても代えがたいものだ。それほどの価値をその品に与えているのは、その品に込められた「物語」に他ならない。その物語に知る者にとっては繰り返しその物語を「体験」するきっかけとなる。
物語が個人的なものを離れ、より多くの人に共通の思い入れになれば、それは「ナポレオンが○○した××」や「あの人気アイドルが□□した△△」として価値をもつことになる。

宇宙を旅した品物は、宇宙に思い入れをもつ人にとって、宇宙に思いを馳せるきっかけとなるに違いない。

最近では日本の宇宙ベンチャー企業、アストロリサーチ社が小型人工衛星を使った個人向け私物打ち上げサービスの開始を発表している。「1億円」という価格設定について、個人的には少し高すぎる機がするが、前述の考え方からすれば、人によっては全く違う印象を持つのだろう。

もうひとつ。こうしたサービスの登場は(たとえ購入しなくても)多くの人の目を宇宙に向けるきっかけにもなる。その意味では先の「1億円」という価格設定は印象に残りやすい、うまい価格設定ともいえそうだ。

「宇宙に品物を持っていく」サービスは、その単純さから、一般にあまり受け入れられないのではないかという人もいる。しかし、私は非常にシンプルでわかりやすいサービスだからこそ、様々な展開が考えられ、かえって受け入れられやすいのではないかとも考えている。

さて、自分はどんな物語をもっていこうか。

参考記事:
宇宙に思い出打ち上げ 1億円

先日の金沢で行った「ミッション・コマンダー(MC)」に関する記者発表についての記事が掲載されました。MCの背景や各MCについても詳しく報告されています。

2007年、日本の民間人が"宇宙ビジネスマン"として宇宙へ飛び立つ(MYCOMジャーナル)

記事中で触れられている私が所属するモバイルサービス会社はKLab株式会社という会社です。会社としての事業範囲は携帯電話の基盤技術から各種ソリューション、コンテンツ企画などのサービス系事業まで幅広くカバーしています。この中で、私はモバイルメディア「ケータイコイン」を担当しています。

ところで、実際のところ、今の「宇宙」と「ケータイ」の関係はとてつもなく遠く離れたところにあるのが現状です。
しかし、このふたつをうまく組み合わせることができれば、「日常のツールになりすぎた」ケータイはもう一度非日常の期待感を持ったツールとなることができ、同時に「宇宙」はこれまでなかなか払拭し切れなかった「SFのイメージ」を超えた、現実感をもった「手のひらの宇宙」になることができると考えています。

「宇宙」という新しい世界に現実感を持って触れるという体験は、(大げさかもしれませんが、)その人の考え方やライフスタイルをも変えてしまう可能性を秘めています。より多くの人に、その体験を届けたいと思っています。

ミッション・コマンダーの地上活動にもぜひご期待ください。

2006年6月7日(水)金沢市で、スペースゲート、米ロケットプレーン・キスラー社、有限会社国際宇宙サービス、有限会社銀河ヒッチハイカーズ、そして宇宙観光企画の主催により、民間商業宇宙飛行士「ミッション・コマンダー」の記者発表を行ってきました。(ロケットプレーン社はロケットベンチャーのキスラー社を買収して社名が変わりました)

「ミッション・コマンダー」は、宇宙機に搭乗し、実験機材や各種イベント関連機材の操作、CM等の撮影を行ったり、旅行者に同乗する場合は各種演出等を行う、新しいジャンルの宇宙飛行士です。例えばロケットプレーンXPは4人乗りで前列左にパイロット、右にミッション・コマンダー、後列に機材等、という配置になります。

ミッション・コマンダーの詳細は別途説明項目でご紹介します。


さて、記者発表は当日早朝に東京を発って夜に寝台列車で帰ってくるという、またしても強引なスケジュールとなりました。(とはいえ、ちょっと寝台に乗ってみたかったというのもあります…)記者発表の準備は先に金沢入りしていた方々がしてくれていました。手伝うことができず、申し訳ないです…。

発表は以下のような流れで行われました。

15時、まずはスペースゲート代表代理として大貫美鈴さんが説明を行いました。スペースゲートはJAXAの産学官連携プロジェクト「オープンラボ」のユニットでもあります。

その後、米ロケットプレーン・キスラー社のチャック・ラウアー氏が現在開発中の宇宙旅客機「XP」の説明などをおこないました。

そして、最初のミッション・コマンダー(MC1)である山崎大地さんからミッション・コマンダーとして検討している計画などについての説明がされたのち、2番目のミッション・コマンダー(MC2)の星野誠さん、そして私の順で今後の活動計画をご説明しました。私は3人の中でただひとり「社長」ではないのですが、宇宙業界とは別企業に属していることによる相乗効果を目指し、いわば「企業内ミッション・コマンダー」としてなにができるかを考えていきたいと思います。

ミッション・コマンダーはこれまでの宇宙飛行士とも宇宙旅行者とも違う新しいカテゴリです。ミッション・コマンダーである私たちはこれまでの経験や知識を可能な限り生かしながらも、まったく新しい挑戦を行っていくことになります。その意味では、すでにあるニーズに対して行われるビジネスではなく、市場そのものを作りだそうとする「宇宙ベンチャー」の意味合いが強いものです。

ミッション・コマンダーの活動を通して、まずは多くの人たちの目を「現実的な可能性」として宇宙に向けさせることができればと思っています。これによって個人の視野が広がり、間接的に各自のライフスタイルを豊かなものにしていくことができれば、結果として具体的な「市場」が立ち上がってくるのだと考えています。


記者発表が終わった後も多くのご質問をいただき、私たちにとっても非常に有意義な場となりました。「市場を作りあげたい」と何度もいってしまいましたが、それを現実にするため、理想を掲げながらも現状を見据えて着実に活動を進めていきたいと考えています。

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ミッション・コマンダー3
箱田 雅彦

・ミッション・コマンダー活動の報告はこれまでと同様、「宇宙観光企画」で行っていきますが、他メディアでの展開も検討しています。決まり次第、ご報告します。


参考記事:
■“夫も宇宙遊泳”米の宇宙旅客機に邦人3人の搭乗決定(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060607i413.htm

■宇宙飛行でビジネスを 日本人3人もチャーター(東京新聞、ほか)
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006060701003289.html

■ロケットプレーンXPに日本人3名(DICE-K.com)
http://www.dice-k.com/030201/1358.html

遅ればせながら6/3に開催された有人ロケット研究会の報告を。
といいつつ、詳細は以下、宇宙システム開発株式会社の広崎社長のブログをご覧いただいたほうがわかりやすいかと。

有人ロケット研究会/第3会勉強会・懇親会報告

今回、以前にも増して本当に多くの方が参加してくれました。すごいです。

(2006/06/08以降に記入予定)

筆者もサブオービタル宇宙旅行を予約している米スペースアドベンチャーズ社が、このたびアメリカ国内で商業衛星業界向けの製品とサービス開発を手掛けるSpace Launchを買収すると発表した。

宇宙旅行会社のSpace Adventuresが技術開発企業買収

スペースアドベンチャーズ社は現在ロシアの宇宙機メーカーの開発に協力し、この機体「Explorer(エクスプローラー)」の採用が濃厚と見られている。今回、Space Launch社の買収によって航空宇宙技術の強化を行い、機体を完成に向けて加速させようとしているのかもしれない。

高度100kmの宇宙へ到達するサブオービタル宇宙旅行の実現に向け、各社はさらに激しいデッドヒートを繰り広げている。現在有力視されているのは、既存のジェット機の機体をベースにした開発で技術的安定性を感じさせるロケットプレーン社、そして今年の国際宇宙開発会議で予約者に対して工場見学ツアーを実施したヴァージン・ギャラクティック社(機体開発はスケールド・コンポジット社)だ。スケールド・コンポジット社は2004年に民間初の宇宙飛行を達成してX PRIZEを獲得した「スペースシップ・ワン」の開発メーカーであり、サブオービタル飛行の経験でいえば一歩秀でているといえる。ただ、現在開発中の「スペースシップ・ツー」はワンに比べ大幅に大型化する予定のため、技術的課題も少なくない。

当面の宇宙旅行ビジネスはその価格帯からみて顧客が無尽蔵に出てくるというわけではなく、早期に開始することがより重要なのはいうまでもない。

果たしてどの会社が一番乗りとなるだろうか・・・。

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